シネマ歌舞伎「女殺油地獄」(松本幸四郎版)の感想
2023年01月23日
シネマ歌舞伎「女殺油地獄」(おんなごろしあぶらのじごく)
2023年1月衛星劇場で視聴
一行感想。映画館で見損ねててテレビで見ちゃったけど、やっぱり映画館で見たいからよろしくね。
この演目は仁左衛門版もシネマ歌舞伎化されているのけど、なんとなく撮り方が違うので、そこは映像化の妙、というかんじで、同じ演目でも違う芝居感もあり、もういっぺん仁左衛門のも見なくちゃ。それとやっぱりシネマ歌舞伎は映画館で見るべきためのものなので、映画館で見たいです。
幸四郎の「女殺油地獄」は襲名公演のときの収録らしい。
上演月:2018年7月
上演劇場:大阪松竹座
シネマ歌舞伎公開:2019年11月
松竹座はもちろん歌舞伎座よりも狭いけど、舞台の間口はこれくらいが古風な芝居ではいいと思う。原作は人形浄瑠璃だから、江戸時代初期からあるわりと古い作品。そのため、セリフは義太夫にのっけた古風な文体で、正直私も意味わからない漢字変換できないとこあるんだけど(^_^;)、シネマ歌舞伎には役者の顔の大写しがあるので、何を言ってるのか、どういう状況なのか、何を考えているのか、義太夫よりずばり伝わってくるものがあるので大丈夫。そういう意味でもシネマ歌舞伎はおすすめできる。
さて、仁左衛門版見たときはあまり深く考えなかったけど、この作品てタイトルが秀逸だよね。凶悪な文字がばばばんと並んで、どんな怨恨話かと期待させるじゃないですか。内容はクズ野郎のクズな言い訳を聞く話だ。そこまでスケールのでかいワルでもないのに、最後は凶悪犯に。何度も映画化、テレビドラマ化されているので、私も物語は知ってたけど、幸四郎版の作品ビジュアルであれっ?って思ったんですよ。
このポスター、なんか痴情のもつれ?とか誤認を狙ってないか? いやいや、そんな話じゃなかったような……
そうなんです、ちゃんと見ましたけど、やっぱりそういう話じゃない。猿之助は沢瀉屋当主だからビジュアルでも大きい扱いで、なのかな?(^_^;)
事件の被害者・お吉(猿之助)は油屋の奥方、子供も2人いて、仕事熱心な旦那さんとふたりで商売をしている。主人公与兵衛からみると、ご近所の奥さん。劇中でお吉は27といっているので、実年齢は25.6かな。江戸時代の話だから、今の感覚では30代の子持ち主婦(自営業)、みたいな立ち位置かな。与兵衛の年齢は出てこなかったと思うけど、お吉よりも下なんだろうか。あっお吉の年齢がはっきり出てくるのは、なんか意味があるんだろうな。2人の子供は、上の子は小学生?くらいで、下の子はまだ赤ちゃんだから、お吉のだいたいの歳はわかるけどね。こうしてみると、設定とか背景に地味に溶け込んでいるようで、本当はこのお話のもうひとりの当事者なのか???
主人公の与兵衛は、やりたい放題の転落人生で地獄行き(多分死罪)なのは自業自得、身から出た錆。ぶちまけた油の中でのたうちまわるのは、さながら地獄の亡者。このタイトルはそんな意味だろうか。地獄などというものはあの世のことではなく、日常のどこにでもぽっかりと口を空けて、人が落ちるのを待っているのだと。
でも、お吉は? 善き隣人でしかないお吉の、いったい何が罪だというのでしょうか。
そんなことを考えてしまったビジュアルイメージでござった。
2023年1月衛星劇場で視聴
一行感想。映画館で見損ねててテレビで見ちゃったけど、やっぱり映画館で見たいからよろしくね。
この演目は仁左衛門版もシネマ歌舞伎化されているのけど、なんとなく撮り方が違うので、そこは映像化の妙、というかんじで、同じ演目でも違う芝居感もあり、もういっぺん仁左衛門のも見なくちゃ。それとやっぱりシネマ歌舞伎は映画館で見るべきためのものなので、映画館で見たいです。
幸四郎の「女殺油地獄」は襲名公演のときの収録らしい。
上演月:2018年7月
上演劇場:大阪松竹座
シネマ歌舞伎公開:2019年11月
松竹座はもちろん歌舞伎座よりも狭いけど、舞台の間口はこれくらいが古風な芝居ではいいと思う。原作は人形浄瑠璃だから、江戸時代初期からあるわりと古い作品。そのため、セリフは義太夫にのっけた古風な文体で、正直私も意味わからない漢字変換できないとこあるんだけど(^_^;)、シネマ歌舞伎には役者の顔の大写しがあるので、何を言ってるのか、どういう状況なのか、何を考えているのか、義太夫よりずばり伝わってくるものがあるので大丈夫。そういう意味でもシネマ歌舞伎はおすすめできる。
さて、仁左衛門版見たときはあまり深く考えなかったけど、この作品てタイトルが秀逸だよね。凶悪な文字がばばばんと並んで、どんな怨恨話かと期待させるじゃないですか。内容はクズ野郎のクズな言い訳を聞く話だ。そこまでスケールのでかいワルでもないのに、最後は凶悪犯に。何度も映画化、テレビドラマ化されているので、私も物語は知ってたけど、幸四郎版の作品ビジュアルであれっ?って思ったんですよ。

このポスター、なんか痴情のもつれ?とか誤認を狙ってないか? いやいや、そんな話じゃなかったような……
そうなんです、ちゃんと見ましたけど、やっぱりそういう話じゃない。猿之助は沢瀉屋当主だからビジュアルでも大きい扱いで、なのかな?(^_^;)
事件の被害者・お吉(猿之助)は油屋の奥方、子供も2人いて、仕事熱心な旦那さんとふたりで商売をしている。主人公与兵衛からみると、ご近所の奥さん。劇中でお吉は27といっているので、実年齢は25.6かな。江戸時代の話だから、今の感覚では30代の子持ち主婦(自営業)、みたいな立ち位置かな。与兵衛の年齢は出てこなかったと思うけど、お吉よりも下なんだろうか。あっお吉の年齢がはっきり出てくるのは、なんか意味があるんだろうな。2人の子供は、上の子は小学生?くらいで、下の子はまだ赤ちゃんだから、お吉のだいたいの歳はわかるけどね。こうしてみると、設定とか背景に地味に溶け込んでいるようで、本当はこのお話のもうひとりの当事者なのか???
主人公の与兵衛は、やりたい放題の転落人生で地獄行き(多分死罪)なのは自業自得、身から出た錆。ぶちまけた油の中でのたうちまわるのは、さながら地獄の亡者。このタイトルはそんな意味だろうか。地獄などというものはあの世のことではなく、日常のどこにでもぽっかりと口を空けて、人が落ちるのを待っているのだと。
でも、お吉は? 善き隣人でしかないお吉の、いったい何が罪だというのでしょうか。
そんなことを考えてしまったビジュアルイメージでござった。