歌舞伎談義 海老蔵襲名当時のことをちょっと思い出し
2022年06月16日
歌舞伎談義 海老蔵襲名当時のことをちょっと思い出し
リスト作りながら思い出したけど、海老蔵襲名の時、いろいろあったなあ。
團十郎急病その時( ꒪⌓꒪)
お父上の團十郎が、公演始まって早々にリタイア。入院してしまった。息子の晴れ舞台のために準備してきたのに、團十郎さまも残念な気持ちだろうなあ。團十郎という方は、自分が海老蔵になるとき、お父上いなかった。いろいろ苦労も多かったのは想像つくよね。
あれっ?じゃあ、勧進帳は明日からどうなるの?(私はチケット取れなかったからどうせ見れないけど(´・ω・`))
翌日から、三津五郎(勧進帳)と梅玉(紅葉狩り。伊勢音頭)が代役に入って、公演は通常営業。え?一晩でなんとかなるの? 前の晩、明日から勧進帳やってくださいって言われて、やるんだ?やれるんだ? 古典芸能ってこわいですね。恐ろしいですね。
出演者が舞台に出られない場合、歌舞伎ではその月の同じ公演に出てる、だいたい同じランク?の俳優が、かけもちで代役に入るものらしい。というのを知った。歌舞伎は昼夜でいくつも演目やるから、誰か適任者いるものなのね。新作だと2〜3日休演があって再開する。
おーいお茶
襲名公演の2ヶ月間、当時海老蔵のスポンサー(TVCM)だった伊藤園が、観客全員にペットボトルのお茶(350ml)を1本ずつ配ってた。私は庶民なので、お茶1本もらうだけで嬉しかった。(安い客(^_^;))祝い幕も伊藤園が提供だったような気がする。
父と息子では客層が違う
この時、團十郎が出られないなら、とチケットがオークションに放流。三津五郎ファンはまさかの弁慶なので、慌ててチケットを探していた。
私はこの時思ったけど、團十郎と海老蔵はついてるファンが違う。成田屋まるごと応援している人はいるだろうけど、一生に一回しかない海老蔵の襲名公演のチケットを、團十郎出られないなら金返せ(チケット譲渡(^_^;))という人がいるわけなの。
でもね、私はそれはわかる気がする。
父と子は、外見や声がそっくりでも、動いてみると全然違う。なんていうか、芸風?の違い? だいたいどこの親子もそう。
私は歌舞伎の世襲って、親の芸、家の芸をコピーするためだと思っていた。でもそれはなんか違うの。コピーできてるのはy遺伝子だけ。親と同じ演目をやるから、余計に別物感が際立つ。
結局、十二代目市川團十郎と同じものはこの世にない。團十郎が休演なら海老蔵見ればいいじゃない、とかそういう問題じゃないの。息子は父の代わりにはならない。だからみんな必至で見に行くんだと思う。
襲名公演の感想☆
暫(しばらく)
悪もんもいいもんもお雛さまのように舞台の段々に並んでるだけ。いろんな登場人物が順番に舞台中央にやってきて、ちょっとセリフなんかがあって。みんな定位置から動かない、集合写真みたいな舞台。おもしろいのか?この芝居。
いやいやいや、なんかね、これすごいんです。
私は襲名公演も見てるし、もちろんテレビでも何回も見たことがある。これ以上ないってくらいすごい。
主人公は鎌倉権五郎。それって誰?誰だっていいや(^_^;)ものすごいカッコで登場する。大きくて強くてカッコいい、をビジュアルで表現。演じている成田屋さんは大変だろうけど、和服をまとったガンダムみたいな出で立ち。
そして、強い男はいきなり悪党にきりかかったりはしない。そこをどけと言われながら、花道に居座り、雑魚には上から目線で軽くあしらう。
この後、みどころはみっつ。
(1)舞台で変身。戦闘タイプにフォームチェンジ。たぶん宇宙刑事並に0.05秒で完了している。その変身プロセスをもう一度見てみよう。
そして、着替え完了してばばーんとと大見得。かっこいい。
(2)ザコ兵の首がぽぽぽぽん( ꒪⌓꒪) 初めてこれをTVで見たときは唖然をしたわ。舞台上に首がごろごろごろ。仮面ライダーや戦隊でもこれは見たことない。だいたい後見みたいな人たちがさささっと片づけてしまうので、見逃さないように。
(3)ラスト。花道を去っていく権五郎。
あの大きくて動きにくい、たぶん重量もある衣装にもかかわらず、前傾姿勢をキープしてて、ほんとにかっこよかったなあ海老蔵。
「暫」も、絶対に花道がちゃんと見える席でないとだめな演目。前半けっこう長く花道に居座る。
動きが少ないけど、それはオペラグラスで好きな役者をずっと見れるということでもある。
舞台の上にいる人物が意外に多くて、上演する機会も限られている気がする。私は成田屋以外の暫って見たことないし。見れるときに見といた方がいい。
伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)
ネタバレなし感想。
えええ〜〜何言ってるの?この人。いいの?この結末で。どういうことなんだよ?と、歌舞伎からの掛リ道、ぐらぐらした。タイトルはよく見かけるけど、この時初めて見たの。こんな内容だったんだ〜。
源氏物語
瀬戸内寂聴原作。正直、歌舞伎としては特に何が面白いというほどでもなく、内容全然思い出せないのは、私が源氏物語にあまり興味がないからかもしれない。
でも、源氏物語実写化としては、この時点では最強だったかも。
海老菊松亀みんな20代だから、そりゃあ世界は煌めいていたです。眼福。そう考えると名古山まで遠征してよかったな。
亀治郎が葵上でちょっと複雑な役。松緑の頭中将。菊之助は朧月夜の内侍。あっ朧月夜がヒロイン?なお話だったような気がする。この公演の映像って残ってるんですかねえ。
助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
東京でチケットとれなくて見れなかったので、これを見るために名古屋まで来た。菊之助の揚巻。亀治郎の白玉。そして海老蔵の助六が、お人形みたいにキレイだったなあ。意休は段四郎だったような気がする。
「助六」も、、「暫」同様、 絶対に花道が全部見えないとだめな演目で、というのも助六が花道に登場して、しばらく花道で踊るから。これが傘さして、最高にカッコつけで、ここをしっかり見なくちゃね。
場面は三浦屋の店の前だけで、お店の中には入らない(^_^;) 三浦屋ててなんのお店?旅館?料亭?←初めてTVで見た時の疑問。(ちなみに郭文章だと中に入れる)
助六というのは、江戸時代におけるカッコイイ男のカタチ。
・ヒゲや月代をきちんと剃っている。
・色白。着流しが似合う。
・着物と小物が粋なオシャレ。
・ケンカが強い。
・女にモテモテ。いつも女が味方してくれる。
美は希少価値にあり(^_^;) 実際はこんな男、滅多にいなかったんでしょう。
助六って、なんかいろいろと謎なお芝居で、なんで曽我物なんだろうな。仇討ちとか社会的に不穏当な内容は全部曽我物にしておけば大丈夫みたいなことだろか?(曽我兄弟事件は歴史的事実なので、幕府も上演をやめろとは言えない、的な。)
揚巻って、好き嫌いをはっきり言う女。助六の悪口をひとつ言われたら十個くらい言い返す女。意休がお客になってる花魁だっているだろし、三浦屋には大事なお客さんだろうに、そこまで言っちゃっていいの?(^_^;)
三浦屋の女郎たち「いいぞ、もっと言ってやれ」
とか思ってる?
助六が日本一の色男なのはわかった。江戸の美女代表って揚巻でいい?
でも他の作品の花魁、例えば八つ橋とか夕霧とかは、もっとふわっとしたかんじだから、揚巻が普通じゃないてことはあるかも。