遠山の金さん
遠山の金さん
youtube「東映時代劇」がGW(2022年)に配信。特集「10人の金さん」。過去に東映が制作した「遠山の金さん」テレビシリーズと劇場版を、金さんひとりにつき一本ずつ(^_^;)を一気見企画。
私は、テレビシリーズでは、再放送でほとんどの金さん見てるはず。見た順番はもう覚えてないけど。
本放送当時、毎週欠かさず見ていたのは、もちろん私のテレビのお殿様・高橋英樹版。だけど、この時点であの有名な遠山の金さんを英樹様が(≡゚∀゚≡)と思って見ていたので、それ以前にも見ていたわけで。エンディングの歌で思ったけど、杉良太郎、橋幸夫の方が見た順番は先だったかも。
遠山金四郎ものは、wikiによると、TV以前に、片岡千恵蔵の当たり役(映画)だったようで、今回私はそれ初めて見させていただきます。
10人の遠山金四郎ラインナップ(スクリーンショット)


(以下、感想文。物語のネタバレgがあります)

片岡千恵蔵金さんの感想
テレビシリーズ遠山の金さんのスタイルは、この映画ですでにでき上がっている。
・町人姿で探索
・長袴をひきずってお白洲
・片肌脱いで桜吹雪
町奉行が長袴をひきずって裁判にお出ましになるのは、なんか変な気はしていたんだけど、あれの原型は元々歌舞伎なのかもしれない。(憶測)
それにしても、この映画では最後のお白州の場面が芝居小屋とか、話が出来杉。面白杉。
そして、片岡千恵蔵様だけど(実は私はあまりよく知らない)、立派なお殿様顔。浮世絵とか役者絵に出てきそうな。それが途中で庶民の口調にひっくり返って啖呵を切る。これがカッコイイんですね。なんていうか、芝居のセリフというより、生きた言葉感があって。
大川橋蔵金さんの感想
事件は、お白洲じゃない、長屋で起きているんだ。この映画は千恵蔵版とは別ベクトルの金さん映画で、長屋の住人が被害者、目撃者、遺体発見、容疑者となって、全員当事者。職人、人足、浪人、芸者、など、庶民目線のドタバタも見どころで、殺人事件のわりには何やらカラッとしたお話。
橋蔵金さんは若いお奉行様で、お白洲で謎解きをする。もちろん長袴。
鶴田浩二金さんの感想
東照宮改築工事請負にからむ殺人事件で、事件設定もリアル寄り。そしてシリアス。材木の集積所での大規模ロケがなんといっても見どころ。
そしてクライマックスの桜吹雪は、お白州じゃないんですね。証拠を手に老中に詰め寄る。江戸城だから長袴?
老中に彫り物を見せてみろみたいな嫌がらせを言われ、切れた遠山金四郎はばしっと片肌脱ぎ、ばりっとした庶民の言葉で反論をかます。
かっこいい。老中にケンカを売るからには腹を切る覚悟。凄みがあって、期待以上に良かった、この映画。鶴田浩二は、特攻か博徒映画しか見たことがなかったので。
共演に藤山寛美。私には全然わからんけど、きっと古風な大阪言葉なんだろうなあ。
TVシリーズ金さんの感想
昔は、時代劇というものはTVをつければ、再放送を含め、一年中毎日のようにやっていたものなので、どれをいつ見たのか、あまりちゃんと覚えていない。見ようと思って全部見たわけではないから(若い時は時代劇をそこまで好きだったわけではない(^_^;))、そういう意味では私、果報者よね。
梅之助金さんは、多分放送年代的に、視聴者が知恵蔵版を覚えているころだと思うから、みんなどんな感想だったろうな。私、初めて見たときの印象は、私好みの殿方じゃないのに、しゃべっても動いても何だかものすごくかっこいい、だった。
段四郎金さんは、計算するとまだ20代。裃のお奉行様姿が絵に描いたようで、とっても美しいです。やっぱり声も姿も三代目猿之助に似てるし、四代目にも似てるし。
テレビシリーズで一番遊び人らしく見える橋幸夫金さん。色が白くて痩せてる(肉体労働をしない(^_^;))、これぞ遊び人、博打打ちというものです。そして主題歌も圧倒的にすてき。赴任したばかりの若いお奉行様感も良き。
杉良太郎と高橋英樹の金さんは、町人姿からすでにもう、いかにもケンカ強そう。丸越だと思って切りかかる悪人どもが、あえなく返り討ちにあうのも、いい気味。
金さんものには、それぞれに遠山家や奉行所、いきつけの飯屋、のような設定があって、部下に誰を使って捜査しているか、とか。金さんをお奉行様とわかってて動いている登場人物もいるのね。英樹金さんの時は、確か筆頭与力が協力者で、頃合い見計らって捕り方ひきつれて乗り込んでくることになっていた。
あと、疑問なのは、評定所の奥まったところに2人くらい書記がいるけど、あれは証言などと記録しているんだよね? 「桜吹雪、とっくと拝みやがれ」という遠山様の発言も、「現場にてこの遠山がかように聞き及び候」とか意訳して記録しているのだろうか。
松方弘樹金さんの時は、番組名に女ねずみ小僧とあって、ちょっと変化球? 金さんの若い奥さんも登場して、若い女優さんもオマケじゃなくて見せたい、という狙いもあったのかもしれない。
松平健金さんは、私はちゃんと見てないと思う。今回改めて見て思うに、遠山の金さん、ご時勢的に不都合?
遠山の金さんというお話は、裁判官自ら検察側証人となって、極悪人とはいえ(^_^;)被告や証人に入れ墨ひけらかして罵倒、あるいは恫喝する。それも毎週(^_^;) 公衆浴場やプールではタトゥはご遠慮くださいな時代、子供も見るTVドラマとしては桜吹雪ってどうなの?ということはあるかも。過去作品をいっぱい見てる時代劇ファンには、こういう様式的な表現だからと思えるけど。
時代劇はどこへいく?
最近のテレビはあかんわ。
サムライという単語だけ独り歩きして、国際試合では二言目にはサムライジャパン。でも、今の若い子はサムライってチャンバラって見たことある?(^_^;)
テレビのチャンバラ時代劇が正しい侍の姿を描いているとは思ってないけど、刀剣なんとかとか、鬼滅なんとかとか、日本刀持って戦うアニメは人気あるのにね。時代劇はどうなるんだろう。
仮面ライダーオーズの劇場版「将軍と21のコアメダル」は2011年だっだ。あの時点で、親子二代で暴れん坊将軍のファンが普通にいたじゃん。暴れん坊将軍を見たことがないと、あの面白さはわからない。暴れん坊将軍が最後のチャンバラ時代劇になってしまうんだろうか。南蛮渡来の〜とか、山吹色の〜とかは死語になってしまうのか。
シンケンジャーは2009年。5色カラーの戦隊コスチュームでチャンバラが見れるとか、それも楽しかった。
形はなんでもいいから、チャンバラ時代劇の伝統は無くなってはならない。と願うばかり。