六月花形新派公演「黒蜥蜴」 の感想

六月花形新派公演
「黒蜥蜴」
 観劇日/2017.6.15 三越劇場

 有言実行。喜多村緑郎で新作やるなら行くわ、とかほざいた手前、見に行きましたよ(^_^;)
 一行感想。三越劇場の古風な内装によく合った雰囲気のお芝居。役者の表情と生ボイスを堪能。
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↑二階席手すり? 下から見たところ。埃がたまりそうな凝った造作。天井にはガラス細工の板とか。


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↑壁や扉、舞台の枠?にも細かい造作。


 喜多村緑郎・河合雪之丞の新派公演「黒蜥蜴」。
 江戸川乱歩原作のこれは、何度も舞台や映像化されてる。それで「黒蜥蜴」の上演歴を調べてて気付いたけど、齋藤雅文脚本の黒蜥蜴は5年くらい前に明治座で上演されている。当時の特設サイトがまだ残っていて、ダイジェスト映像などを見ることができたが、映像から想像するに多分設定や物語は同じだと思う。
 明治座のは3幕構成で、登場する役者もだいぶ多いようだった。三越劇場版は2幕構成で、役者も20人と、上演時間も規模もコンパクトになっている。私は明治座のは見てないので違いはわからないが、おそらく通行人などのモブキャラを削って、スピーディーな展開に構成し直してるのだろう。ストーリー、スピード、スペクタクル。3つのSですね。(スーパー歌舞伎の法則)
 全体の上演時間が短いこともあるけど、退屈したり眠くなるようなことはなく、しかも物語的に過不足なく、面白く見られました。
 三越劇場は客席数が700くらいだったかな。天井も低く、狭いです。おかげさまで席が遠くても、役者の顔も衣裳もはっきり見えて、生ボイスがダイレクトに耳にじーん。なんかすごく演劇見た満足感がある。演劇って本来こういうものだったんだろうな。

 一番最初に登場するのが永島敏行。すごく好きな俳優というわけではないのに、声も姿もなんかかっこいい。やっぱり生で役者見るって素敵。初めて見たのは映画「ドカベン」で、デビュー作らしい。一目で名前も顔も覚えるって、やっぱり私ファンだったんだろうか?(^_^;) だいたいいつも心根の真っ当ないい奴役の印象が強いんだけど、この舞台でも武骨で真っ当に強い刑事さん役。この刑事が、古風な三越劇場を戦前の東京に見立てて語りはじめる。つまりお客さん目線は、黒蜥蜴を追いかける刑事や明智探偵サイドから物語に入るのね。
 明智小五郎は喜多村緑郎。スーパーヒーロー的な探偵じゃなくて、変化球投手のような、まともにいくと全部かわされてしまうような、ちょっとこじらせた奴?。相変わらず声が素敵。よく通って聴きやすい。新派に行ってしまったのはさみしいような気もしたけど、こうしてやりたい芝居ができるならよかったんだわ。
 秋山真太郎(劇団エグザイル)は背が高くて、え?ガイジン?モデル?みたいなかんじで、出てくるだけで目立ってよかった。アクションシーンもある。
 この舞台で意外に重要な役って、あの女中役のベテラン女優さんですよね。この役が、実は黒蜥蜴の過去を語らずして表現する。伊藤みどり、新派のベテラン。
 誘拐されるお嬢様は春本由香。松也の妹ね。初めて見たけど、声がよく通ってよかった。
 そして黒蜥蜴は河合雪之丞。新派に行っちゃった〜とか思っていたけど、沢瀉に残っていたら黒蜥蜴をやる機会はなかっただろうから、これはこれでよかったのだとやっぱり思うわ。

 さてお話は、「ぼくのかんがえたくろとかげ」的なやつ。
 原作には確か黒蜥蜴の人物背景のようなものは書かれてなかったはず。現実的に考えると、黒蜥蜴って変な設定ではあるんです。「男所帯の盗賊団のボスが女でつとまる?」「ワルの集まりである子分どもは何故女王様に絶対服従?」「離反者や裏切り者が出ない盗賊団の結束の謎」「人間の剥製みたいな悪趣味に付き合う子分ども」とか。
 原作を読めば誰もが思うであろう疑問に、ずばり応える黒蜥蜴の設定や過去のようなものが、漠然とだけど描かれていて、なるほど黒蜥蜴。また、女ゆえに他の悪の組織になめられて抗争?になるあたりも、なにやら現実味がある。
 この脚本でうまいさじ加減だと思うのは、黒蜥蜴の人物背景を漠然と見せただけで説明はしてない。つまりあの家族の象徴のようなあれは具体的に何なのか。なぜこういう境遇になったのか。家族はどうなってしまったのか。については何も語られていない。何か大きなものを失って、それを何か美しいもの?で埋め合わせてきたのだろうか。元々原作には出て来ないものを、事細かに作り込むと乱歩ファン個々が抱くイメージを曲げてしまいかねないので、このくらいでいいのだと思う。
 そしてこれが恋愛劇たる一番の肝は、明智が名前を教えてくれというところ。うまいこと書いたなあと思います。
 いろいろ詰め込まれていて、楽しかったです。



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