隠された帝

「隠された帝」井沢元彦著

 この本は、私は1990年発売の祥伝社の書籍版を持ってる。でもどこへしまい込んだか(^_^;)、四半世紀も前の本だしもう読めるような状態じゃないかも……
 電子書籍版で買い直すことにしました。
 うーん。帯がないのはしょうがないとして、後書きとか解説のようなものもないのね。

 20年ぶりくらいに読み直したんだけど、やっぱりこれ面白いわあ。
 「猿丸幻視行」で一発でファンになってしまい、とりあえず本屋の店頭で「井沢元彦」で探して手当たり次第買った、そんなファンになりたてのかなり初期に読んだ本だ。当時、確か平積みになっていた。
 でも買うのちょっとためらった。
「天智天皇暗殺?うっそー。そんな嘘いくらなんでも信じられんわ〜」
 しかし日本史ものが読みたくて好奇心はおさえられず、金を捨てるつもりで買いました。
 そして読後、「そうか、やっぱり暗殺だったんだ(`・ω・´)キリッ」
 そんな本です。


(↓超ねたばれ感想雑文)





 現代で進行する話のだいたいの流れは、ほとんど病室のベッドで会話しているだけなので、そこははっきりいってどうでもいい。
 このお話の肝は、天智天皇&天武天皇にまつわる謎にある。
 天智天皇にどんな謎があるの?
 くわしいことは井沢さんの「逆説の日本史」の古代史あたりの該当する巻を読めば書いてあるけど、「隠された帝」では物語の中で主人公たちが検証するということで、会話のやりとりでわかりやすい流れでまとめてあるかんじ。
 謎はふたつ。
(1)天智天皇は暗殺された。
(2)天智天皇と天武天皇は兄弟ではない。
 天智の最期については、万葉集掲載の挽歌で、普通の状況じゃなかったことがわかる。
 つまり、日本書紀は嘘を書いている。というのだ。なにしろ日本書紀の編集長は、天武天皇の息子だ。だいたいかんじんの天武天皇年齢がまったく不明なだけでおかしい。すなわち年齢を明かせない故意の沈黙である。勝者の書いた歴史書は信用できない
 天武と天智が実は兄弟逆ではないか?つまり天武の方が年上? あるいは実は兄弟でもなんでもなかった?

 だいぶ昔だけど、「額田女王」というテレビドラマがあって(井上靖原作。岩下志麻が額田。1980年放送)、あれがだいたい日本人が漫然と抱いている天智天武朝のイメエジだと思う。あのドラマ、もっかい見たいなあ。
nukata01.jpg
 ちょっと検索したら当時のテレビ雑誌の表紙画像をupしているブログをみつけた。こんな貴重な画像ありがとう。保管。天智近藤正臣と天武松平健とか私はドストライクなキャストでござりますな。DVDとかなってないんですね……残念…。
 このドラマは額田が主人公の恋愛劇と、同時進行で大化の改新あたりから天武即位までの血みどろの政争劇をつづる内容だったかと思う。
 このドラマでは、天智天武はもちろん兄弟設定だった。細かいことはあまり覚えてないけど、天武が若い時はどんな描かれ方をしてたかな。うーん。やっぱりもう一度見たいなあ。私はこのドラマ以降、天智天武あたりのフィクションノンフィクショのは全部、このドラマキャストの脳内映像になってる。もちろん「隠された帝」もこの脳内映像で読んだ。

 こういう通説凡例見解のような日本史ストーリーが大前提として私の中にあったので、「天智天皇暗殺説」「天智天武非兄弟説」のようなタイトルは見るだけで、心理的な拒否感があった。暗殺説はしらんけど、非兄弟説は聞いたことがあったけど、読んでみようという気すら起きなかった。なんていうか、それまで自分が理解し、自分なりに築いてきたイメエジがガラガラとかき回されるのが嫌だった、というのは今だからわかる。

 最初に読んだ時は、天智天皇が実は謎の最期を遂げた、という事実が衝撃的だった。これは万葉集が状況証拠となって、素直に納得が行く。
 では、結局天武はどこの誰だったのだろう? というのが、やっぱり気になるな。
 実は兄というだけなら、それは隠すようなことじゃないと思うんだよね。年齢をごまかしたのは、兄だと名乗れない、兄では都合が悪い。それは何故なんだろう。
 実は井沢説は、逆説の日本史の中で異父兄弟説を書いている。公文書に書くのをはばかるというのは、すなわち皇位を継ぐ血統に瑕疵があるということだ。
 身分の低い兄? うーん、そんな下賎なヤツに4人も娘はやらないんじゃないかな。でも4人も王の娘をもらうからには、資産家であり、ちゃんとした身分や血統はあったんだとは思う。皇位を狙うには不利くらいの。
 私はね、出自がどうあれ、兄という設定にできなかった理由は、ひとつしかないと思う。大海人皇子になりすましたからだと思う。文献の中で。大海人という同母の皇子は実在した。大海人皇子だったことにすれば血統には問題なくなる。天智の弟になりすましたのだから、死んでも本当の年は隠さなくてもいけない。うーん、諸君、この推論はどうかね?
 こういうことをあーでもないこーでもないといろいろ考えるのが、この本の楽しいところなのである。
 だいたい400年そこら前の「本能寺」ですら真相はわからないのである。それよりもずーっとずーっと昔の1600年も前のことなんかわかるわけがない。日本書紀にどんな嘘が書かれていても反証は難しい。そこもミステリ的には楽しい部分だと思う。


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