バードスクランブル
正岡

おたくな奥様快楽通信

愛咬の掟

2015年09月24日
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「愛咬の掟 Regulation of Love Bite」
「愛咬の掟 番外編 愛猫家に帰る」
高尾理一著

 商業作品に疎い私は、もちろんこの作家先生も作品もしらなかった。(よくよく調べるとこの先生のBLCDも何作が出ているが、私は持ってない。)
 なんでこの作品を選んだのかと言うと、何か別の作品のあとbookliveアプリのおすすめにひっかかってきたからだと思う。よく覚えてない。版元レビューによると、主人公は刑事で、父親も刑事だったが15年前に殺されて、父の無念を晴らそうにももうすぐ時効で……ああなんか最近そういうの仮面ライダーでもあったなあ……仮面ライダーとちょっとだけ違うのは、ヤクザに拉致監禁されて……。よし!読んでみよう(`・ω・´)キリッ

 一行感想。BLのヤクザは特権階級で無敵。強い怖い痛いと三拍子そろっている(^_^;)

 BLにも昔から定番でヤクザものってあるんですが、それはヤクザキャラとは、出てくるだけで
・権力(代紋の権威。たまに公権力にも影響)
・金
・暴力(つまりケンカはやたら強い)
・非合法手段もいとわない
というスーパーサイヤ人級の男を意味する記号です。
 だからたいてい若頭とか若頭輔佐(私は組織の構成はよくわからないけど)以上の地位の男だ。BLだから若くて外見も男前で、良い子分も大勢ついてくる。(組織からのはみ出した流れ者ヤクザが攻の時は、金はない)
 そしてBLヤクザものの一般的な特徴は、ラブラブ甘々な恋愛じゃなくて、一般人の日常からかけ離れた殺伐としたお話。痛かったり怖かったり、人も死んだりする。ヤクザ設定の醍醐味はここにある。

(ねたばれ感想)




 このお話は、痛いというほどの暴力はなく、でもちょっと怖い。おもしろかったです。
 いきなり拉致監禁から始まるハードな描写。そこは期待を裏切りません(^_^;) でも痛いの苦手な人にも大丈夫な程度の加減です。
 お話は終始、主人公の若い刑事視点で進むわけなんですが、かっちりと主人公視点に固定されているので、お話のブラインド部分が多くて、主人公に見えないものが読者にも見えない。だから、当事者になったつもりで事件の真相を追いかけて面白く読めた。ヤクザのボス(攻)、企業舎弟の社長、子分1、子分2、父親の同僚刑事1、刑事2、父親の事件関係者?のヤクザ……などが登場人物が次々現れるわけだけど、主人公には彼らの一面しか見えないわけで、それが後からいろいろと面白い流れにつながっていくわけのだ。
 また、ヤクザ(攻)との関係も、主人公視点ではちっともラブラブではないのも面白い。(攻)もいい人というわけでもなく、主人公に疑念を抱かせてしまうのも、わりとかんたんな真相をややこしい話に盛り上げている。
 Hシーンが多いとお話の流れを止めてしまう。でもHに関係ないストーリー説明は退屈。現実感がなくなると刑事設定が無駄になる。BL小説にはいろいろな足かせがあるけど、そこはバランスよく組み込まれて作品だと思う。
 そして、結末なのだが……
 勧善懲悪とか予定調和じゃない、ちょっとなかなかひねりの効いた事件の顛末。これは良かったと思う。
 でも、このあと二人の関係はどうなるんだろう?
 ヤクザの偉い人と現役の警察官がラブラブになって終わるとか、それはおかしいだろ? しかも事件の結末はあれで。
 実は、そこはそうなんです。「愛咬の掟 Regulation of Love Bite」では、そのへんは何も語らないで終わってる。このあと二人がどうなったのかは書いてない。
 そこで慌てて、続編はないのかと検索すると……
「愛咬の掟 番外編 愛猫家に帰る」
が出てきた。
 もしかしたら、この危ない関係のまま続編を書く予定もあったのかもしれないけど、これを読むと、その話に続きはないのがわかる。この短編は電子版用に配信されたもの? 番外編と書いてあるけど、実は後日談なのだ。結局おさまるところにおさまって、そうだよなあ、と納得する結末。バッドエンドにはなってないし、世界観を壊すようなこともなく、これはこれでいいんじゃないかな。違う結末が良かった、もっと続きが読みたかった、という読者もいるかもしれないけど。

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この記事を書いた人: 正岡
■生涯一腐女子。腐女子の本懐を極める。追っかけ中→小西克幸。市川猿之助。松田龍平。蒼井翔太
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