少年探偵団

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 これは思い出の本なのだ。実は私が初めて読んだ江戸川乱歩は、この本だった。
 あれは今から三年前…いや、もっと昔です。私は小学校4年生。TVアニメ「わんぱく探偵団」が放送されて、世の中にこんな面白いお話があるのかと感動し、この本を買ってもらいました。少年探偵や明智小五郎シリーズをよく知らない私は、アニメの原作なのかと思って読んだら、実は全然違うもので(^_^;)
 当時の私がこの本とちゃんと読めたのかよく覚えてないんですが、これと「怪人二十面相」の2冊は買ってもらって、以下の少年探偵シリーズは学校の図書室や市立図書館で借りて読みました。もちろん貸し出し中なことが多かったので、順番には読めないし、途中で他に興味が移ったりして、全巻読み終わったのは中学になったころでした(^_^;) そしてシリーズ最初から通しで読んだのは、もっと大人になってからでした。
 今冷静にふりかえって、悪ものなのに「二十面相がかっこいいかも」と感じたのは、「わんぱく探偵団」の二十面相(cv若山弦蔵)の影響かもしれない。原作読むより先に若山二十面相を見ちゃってるので。

 「少年探偵団」は、「怪人二十面相」の続編にあたる。1巻+2巻は読み切りじゃなくて、シリーズものとして時系列的に話がつながっているので、読むなら最初から。別に逆に読んでもお話がわからないということないけど。

 お話は二部構成。
 前半は呪いのダイヤ事件。謎の外国人につけねらわれる篠崎家。小林君の作戦は見破られ、地下室で水責めで絶体絶命のピンチに。(ここが超萌えポイント)
 後半は黄金の塔事件。二十面相の予告状に、明智探偵が小林君に授けた作戦とは…(これも萌えポイント)

(ここからネタバレあり感想)



 「少年探偵団」も話は長いです。特に呪いのダイヤの話は、まず日常的な怪事件(事件というほどではない都市伝説的な怪談?)から始まって、だんだんと篠崎家に焦点が絞られている流れが臨場感ありありで、長い前置きだけに雰囲気爆盛りで怖いです。
 当時4年生だった私は本当にこの長い話がちゃんと読めたんでしょうかね。ただ、アニメの原作だと思って読んで失望した?のはよく覚えているので、とりあえず読んだことは間違いありません(〃▽〃) 当時何に失望したかというと、少年探偵団の団員や組織、小道具などの詳細設定がわかる?と期待したんだけど、実は原作の少年探偵団はアニメの様な団員の明確なキャラクター設定がないですし、団員名簿や法度もないし、探偵団結成や探偵道具などの詳細も誰が何をどうした的な設定紹介は詳しくはない。少年探偵団は、今どきのコミックやアニメのような設定資料集的なものはないみたいなんです。
 しかしタイトルには偽りなし。「少年探偵団」は小林君以外の団員があれこれと活動しているし、それが大人の仕事(二十面相逮捕)につながっていくお話なのだ。

 さて、この作品の前半、絶対に外せない萌えどころ。小林君が小さい女の子ごと誘拐され、地下室に閉じこめられて水責めに。この恐ろしいシーンと同時進行で、団員たちが小林君の行方をBDバッジを手がかりにたどっていく、果たして間に合うのか????
 ということで、今作は小林くん以外の団員がお話の起点になったり、団員目線で追っかけたりしていて、必ずしも「小林くん=読者」じゃない。特にこの水責めの場面は、必要以上に小林くんの内面には踏み込んでなくて、小林くんの気持ちになりきりで恐怖感を味わうようなかんじではない。場面はそのあと、救助されてナイトガウンを着ている小林くんに一気にとんでしまって、小林くんの恐ろしい体験をそのまま読者も一緒に体験するようにはなってない。明智探偵が帰ってきて、事件のあらましを質問されてたりしているくだりは、事件をリアルに追体験してるかんじで、ここは読者=小林くんなりきりで楽しめるところだ。
 「読者=小林くん」でなりきっていいことと、なりきれないことがあるのかもしれない(´・ω・`)
 そもそも、主人公の小林くんはいうなれば出来杉くんなわけで、あの明智探偵に信頼されるほど有能で頭がよくて勇気があって、男の子からみても憧れの先輩。そんな出来杉主人公よりもむしろ、小林くんのお友達的立ち位置で、小林くんほど優秀じゃないけど出来る範囲で勇気と努力は惜しまない、小林くんの横でがんばる、そんな団員に自分を置換える方が感情移入しやすいものなのかもしれない。少年ジャンプだって、スーパーヒーローな主人公の横には必ず努力家のメガネくんなお友達キャラがいるじゃない?
 だから少年探偵団の流動的なメンバー構成?は、少年読者が誰でも団員になれる、そんな空想の余地を残してるんだと思うのね。

 話は少し遠回りしたけど、ここの水責めがなにゆえ腐女子的な萌えポイントかというと、実はこれが二十面相の自作自演だからだ(〃▽〃)
 子供の時読んだ時はこれはわからなかった。二十面相的視点で物語を見下ろすことができるようになったのは、自分が二十面相くらいの歳になってからだと思う。いい人になったり悪い人になったり、大道具小道具そろえて、そこまでして手に入れるものは宝石一個だったりとか(^_^;) すごく数字に合わない犯罪だよね。宝石一個で10億円したって、その経済的価値は売却したときに得られるもので、美術コレクターとしては「所有している」ことがステータス。品物によっては保管やメンテに金がかかるから、むしろマイナスだと思う。それに普通に強盗ならもっと簡単に手に入るのに、わざわざ予告状出したり、明智を呼んだり、関係者になりすましたり。昔読んだときは私ももうちょっと若かったので「退屈は人生の敵だ!」などと、二十面相に共感?するものが多々あった。金もうけに理由はいらないけど、簡単に手に入ったらつまらない、という超わがままものである。大金なんか稼げないくせに、そんなふうに思ってました(^_^;)

 そして、後半部、黄金の塔事件編は、小林くんの女装が萌えポイントです。
 この作品が書かれたのは戦前で、「女中」や「書生」が出てくるお話て今読むと時代劇に近いものがあるかな。小林くんの女中つとめは住み込み?通い?下着は?トイレとかどうしてたのかしら?……などと私は小学生とはいえ女なので当時思いましたが、当時の少年読者はどうだったんだろうなあ。思春期前期の男の子にとって、女の服を着るなんてアイデンティティの崩壊にもなりかねない恥ずかしいことのはず。だから意外なお話だったのかな?
 ちなみに、小林くんの女装は有名だし二十面相も気がつかないくらい完璧(^_^;)だけど、使用頻度はそれほどなかったんじゃないかな? それは続刊読んで確かめます。

 私はシリーズ通して、この刊が一番好きかな。初めて読んだ乱歩ということもあるかもしれないけど、好きなシーンはこの巻に集まってる。小林くんの水責め。二十面相が気球で逃亡。小林くんの初めての女装。二十面相のアジト大爆破の結末。
 特に気球で逃亡して、新聞社のヘリが追いかけて、大騒ぎになるあたりは、スケール感があって好き。

(第3巻につづく)

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