緊縛

「緊縛」剛しいら著

 職業・二代目縄師×歌舞伎役者の出会いとそれからの物語。

一行感想
 受け攻めも人生の写し鏡

 この本は、いたって大真面目に良かった。
 タイトルの語感から連想するようなエロいBL本かと期待すると、そこはいい意味で肩透かし。お話にも人物にも奥行きが感じられて、エロを読むのとはちょっと目的が違う本。なんていうか、硬派な本だった。しかもそこが面白いと感じる。

 剛しいら先生の本は、私もいくつか持ってる。BLCDになった作品を中心にいろいろと。
 この作家先生のお話は、セリフだけ拾って読んでも話がわからない(^_^;) ぱらっと5分で斜め読みとかHなシーンだけ拾い読み(^_^;)みたいな読み方はできないのが多い。でも、人物にもお話にも何か印象に残るものがあったりで、多少趣味に合わなくても本を読んだ感があって、私は好きな作家さんだ。
 SMの題材は同先生の他の作品でも出てきたと思うけど、それの理解の一端がこの本にもある。
 数ある剛作品の中で、今回これを選んだのは、表紙買いで(^_^;)
 小説の表紙買いってやっちゃいけないことだと思うけど、作家買い+表紙で選択です。この表紙のアートな印象に引かれて買いました。表紙の印象どおり、ただの後ろ暗いHではなくて、もう一段上にある何か……を読ませてくれる作品だった。

(ねたばれ感想)

 この本のおもしろいところ。
 なぜ縛るのか、何を縛るのか、なぜ縛られたいのか、双方に強い動機と経過が描かれている。ドS男の性格が悪いからとか、趣味のSMではなくて、縛るという行為を介在しないと理解しえないような、もっと重いもがあるのだ。そして、双方とも自分の抱えているものと向き合い、それをきっかけにして二人の人生がちょっと良い方向に向かい始めて、お話は終わる。
 Hな題材のBLなのに、描写はエロいとは全然思えない。恋愛の延長にHがあるようなBLじゃない。それでもその動機部分を読み聞かせられるのは、とても面白かった。
 しかし、ちょっと難もある。
 私、このジャンルはあまりよくわかってない。頭ではこういうものらしい(痛めつけることやHが目的じゃない)というのは漠然と知っていたけど、詳しいわけではないから、具体的に緊縛図の絵が全然浮かばない。滑車に吊るした…程度のことしか本文には出てこないので、いったい縄はどことどこにかかっていて、どこを吊るして、今彼はどんな形になっているのか、全然わからないのである。自分の読解力の問題かもしれないが、読み返してもやっぱりわからない。そこもうちょっと詳しく、あとの方の京都のあたりはしょってもいいから……と注文をつけたい箇所もしばしば。
 そんなわけで、微に入り細に入りな緊縛描写があるわけではないので、わかりやすいエロBLじゃないのだ。
 しかし、ストイックなまでにさらっと話が流れていくので、余計に動機部分があぶり出されて見える、というのはあるのかもしれない。

 痛かったり怖かったりする内容ではないです。怖そうなタイトルだと思って敬遠してるなら、おすすめてしておくです。文体も描写もエロエロじゃなく、中身のあるHが読みたい人はぜひ。


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