日出処の天子(完全版)第3巻

日出処の天子 〈完全版〉/第3巻(全7巻) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)日出処の天子 〈完全版〉/第3巻(全7巻) (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)
(2011/12/22)
山岸凉子

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 第3巻の史実の流れ。泊瀬部大王即位、そして蘇我氏と対立。

 お話。泊瀬部大王は即位したが、厩戸や蘇我氏が疎ましく、折り合いが悪い。厩戸に複雑な思いを抱いたまま、毛人は安倍氏の姫の元へ通い始め、厩戸にも大姫との婚儀の話が進んでいた。そして毛人は石上斎宮の布都姫に出会い……。


 第3巻からは、王子や毛人の周囲に、さまざまな女性キャラクターが登場する。毛人が通う安倍の娘、額田部女王の娘大姫、布都姫、他に直接係わりがないけれど他家の姫など。おばさんから娘まで、実は女性で重要な登場人物も多い作品なのだ。
 「ずる天」はBLである。しかし男だけで話は進まない。好むと好まざるに係わらず、女ともお付き合いしなければならない。恋愛や結婚は少女マンガたるテーマであるが、王子や毛人のような身分の高い男にとって女の存在は、同時に非常に政治向きの生臭い話でもある。
 この作品における婚姻は、男女の愛のゴールではなく、権力と権力の結びつきなのだ。女性キャラクターは、そうした力学の中で生きていかなければならない。

第3巻感想とか…



 まずは女性キャラの造型がみどころかな。
 「ずる天」は古代日本の宮廷、つまり政治の場を舞台にしているので、オッサンオジサンの登場人物が多い。作者はそれらのおっさん顔を描き分けているのはもちろんだが、実は女性キャラも多数登場する。
 厩戸や毛人には複数の妃や夫人がいたのは明らかで、母や女帝も女官もいるし、この作品はそれは無視しないで、おばさんから若い娘まで顔や体型を含め、それも描き分けている。

 BLにおける女性キャラの役割はふたつしかない。
(1)主人公男たちを応援する(^_^;) 彼らを理解し、時にアドバイスや後押しをする良き理解者役。
(2)主人公男たちの邪魔をする。横恋慕、金と地位などを使って仲を裂く、しつこくまとわりつく、精神的負担となる、人生の横車、など。
 「ずる天」については、(2)である(^_^;)
 毛人と刀自古兄弟は、昔からの山岸ファンにはおなじみの顔だけど、厩戸をはじめ他のおなごはおよそ少女マンガの基本キャラ造型から外れている。もちろん何が少女マンガらしいというキマリがあるわけではないが、少女マンガといわれて多くの人が思い浮かべる絵柄とは違う。後に推古天皇となる額田部女王、母、大姫など、古代の美女はデブである。ここはきっちりと伝統美の表現スタイルで描かれている。
 後に厩戸や毛人を悩ませることになる刀自古と布都姫は、目が大きく、顔が痩せていて、おそらく読者が美しいと感じ、感情移入しやすい造型になっているように思う。彼女らは、厩戸と毛人の間に割って入ってくる、いわば関係を壊しにくる役である。しかし、いかにも憎たらしいブスに見えてはいけないのだと思う。それなりに魅力的でないと、毛人の心を奪う説得力がなくなる。

 印象に残っているシーン
額田部女王「見るからにたおやかで控え目な、女らしい女…という印象が嫉ましかったのかもしれない」
 二重あごがふくよかで、仏像のようなお顔の額田部女王。後に天皇になる人物だけあって、存在感があり、相応の人物に描かれている。お話のところどころでモノローグがあり、厩戸や他の人物について冷静な分析を読者に語る役どころ(^_^;)
 これは宴席で会った厩戸の母(異母妹)についての論評? かわいくない女の本音。嫉ましいとか羨ましいを冷静に認められるのは、よくできた女の描写。

厩戸「誰だ?」
 女連れの毛人を見かけて、屋敷に戻って。毛人に嫁とりの話?を調子麻呂から聞かされる。
 この巻でようやく気付いたけど、厩戸と毛人の意思の疎通はうまくいっていない。時に意識がリンクすることはあったりしたけど、厩戸が毛人をどう思っているのか、ここではっきりする。毛人が嫁を…とか聞いただけで屋敷が揺れるくらいの動揺する厩戸。自制できないくらいのいわゆるジェラシーである。

厩戸「これより先の我が望み、すべてかなうなら、この矢よ、当たれ!」
 賭弓の儀のシーン。厩戸がきれい。

厩戸「聞こえぬのだな。毛人。私の声が…」
 毛人の意識を根こそぎ持って行く、布都姫とは?

 第4巻へつづく。

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