日出処の天子(完全版)第2巻

日出処の天子 〈完全版〉/第2巻(全7巻) (MFコミックス)日出処の天子 〈完全版〉/第2巻(全7巻) (MFコミックス)
(2011/12/22)
山岸凉子

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 第2巻の史実の流れ……豊日大王の死後、皇位争いが蘇我氏vs物部氏の戦争に発展する。蘇我氏の勝利に終り、泊瀬部大王が即位するところまで。調子麻呂、とみのいちいといった、文献に登場する人物も話に深くかかわってくる。

 第2巻感想

 穴穂部&物部潰しに暗躍する厩戸。穴穂部暗殺から一気に緊迫した展開に…。血なまぐさい政争の中で、毛人は迷う。道義的感情的に厩戸を恐れる気持ち、しかし魅かれる気持ちもある。そんな毛人に対して厩戸は距離を置くようになり、二人のつながっていた何かがまた途切れる。

 総合的な感想文は7巻の後にまとめるとして、巻ごとに私が印象に残ったシーンを抜き書きしておく。私はこの作品は、雑誌で初見の時の強烈な印象が、30年たった今でも変わらない。絵とセリフがセットになって、目に脳に刷り込まれている。ただ人物の解釈とか当時気付かなかったことなどはあるので、それは後からまとめようと思っている。
 第1巻では、毛人は厩戸の側で魑魅魍魎を見るなどオカルト体験?などして、厩戸の強く特殊な能力をまざまざと体験するわけだが、実は毛人もそこそこ霊感霊能力などの素養があるらしい。第2巻では二人の関係が少し進んで、毛人は厩戸と何かがリンクしていて、厩戸の危機になるとそれをなんとなく感知する毛人の様子が頻繁に描かれる。自室にいる時、声が聞こえたり、夢を見たりする時、たいていは厩戸に何かある時だ。
 また厩戸の家族関係に問題があることが、毛人にもかいま見えてくる。


厩戸「明日、朝参がある」
 穴穂部を厩戸自ら暗殺。些細なミスで深手を追ってしまった厩戸は、毛人のところに匿われる。意識が戻って、明日の段取りを毛人らにクールに告げるシーン。

止まれ 剣の護法童子よ!!
 厩戸の頭上の天空を横切って行く戦神。1ページぶちぬきで、上に護法童子、下に厩戸があるだけの開放的な空間の絵。
 この作品には魑魅魍魎や疫神など恐ろしいものが描かれるが、神や仏のようなものも厩戸の前には姿を見せる。恐らく山岸先生は、仏像仏画など多くの資料から描き起しているのだろう。仏像というものは形(顔とか衣装とか)が決まっているものなので、先生はそれを無視して自分の絵柄で描くというようなことはしていない。川に転落した時、厩戸の前を仏の行列が進んで行くが、これもどこかの仏像をモデルにしている。あそことかあそこの十一面観音に似ている。

厩戸「熟した実が枝から落ちるように。高い所から低い所へ水が流れるように。当たり前の事だ。当たり前の自然のことなのだ」
 毛人はなぜか強く否定する。厩戸の側にいて何度も不思議な体験をしているはずなのに、自分に関しては自覚がなく、みんな厩戸のせいと思っている。超常体験についてはひたすら驚く、信じられないのは仕方がないが、自分についてリアリストにはなれないのを優柔不断という。

毛人「いや…射たぞ。淡水」「物部守屋を殺ったぞ」
 戦闘中、いきなり厩戸皇子の思念をキャッチ。淡水に木の上にいる守屋を射ろと命じる。剛腕の淡水でぎりぎり矢が届くような距離で、命中したところを見てもいないのに、守屋が死んだと告げる毛人は口調も表情も普段とは別人。
 このセリフは厩戸が言わせているのではなくて、毛人の普段眠っている本性なのではないだろうか。
 私はずっとこのシーンは、厩戸の意識のようなものが蝦夷をスピーカーにして言ったと思っていた。つまりこれは厩戸のセリフだと思っていた。だけど今読み返すと、これは本当は毛人自身のセリフじゃないだろうかという気がする。厩戸のびりびりするような殺意の念に同期して、スーパーサイヤ人発動、みたいな状態になるのは毛人にも眠れる素養があるからだ。
 本人の意識に関係なく、突然リンクする厩戸と毛人。こういうところが萌えどころだと思う。意志や感情のような自覚できるようなものじゃない。意図しなくてもつながってしまう。二人にしかない特別な関係が強調されている。

厩戸「よくいらっしゃいました。毛人どの」
 宮を訪ねてきた毛人に、にこやかな仮面の厩戸。絵がきれいだけに、なんだか心ふさぐ。
 毛人から見た厩戸はよくわからない人だ。お話の上では、読者は毛人になったらり厩戸の気持ちになったり、二人の気持ちをシーソーのように左右に揺れながら読む。厩戸王子は本当はこう思っているのに、それは毛人にはわからない。毛人はこう思っているのに、王子にはそれがわかるはずなのに拒絶する。そんなもやもやを抱きながら、つづく。

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まとめ【日出処の天子(完全版】

日出処の天子 〈完全版〉/第2巻(全7巻) (MFコミックス)(2011/12/22)山岸凉子商品詳細を見る 第2巻

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  • 2012.11.28 17:06

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