日出処の天子(完全版)第1巻

日出処の天子 第1巻 完全版 (MFコミックス)日出処の天子 第1巻 完全版 (MFコミックス)
(2011/11/22)
山岸 凉子

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 最近めっきりマンガ買わない人になっていたので、こんなものが出ているなんて知りませんでした!不覚!
 完全版とは、連載当時のカラー扉、単行本に編集される時省かれた扉やページ、予告用のカラーカットなど、すべて収録されてます。ですから、コミックスや文庫版には収録されなかった絵があります。サイズはA5くらいで、330ページくらい。

 山岸凉子の作品は、私はちょうどストライクの世代で、アラベスクから雑誌で読んでいた。読み終わって、何かざわざわする、いやそうじゃないんだ、ちがうんだ、こんなはずはないんだ……と思いながら、しかしこの結末しかないのか、と理不尽な思いのまま次回作へ手を伸ばす(^_^;) だから山岸凉子にいつ出会うか、というタイミングでだいぶ印象が違うと思う。とりあえず小学生が読むマンガじゃない。
 山岸凉子の作品で一番感じることは、理不尽で残酷な現実から目を背けない、向き合って耐える、そして打ち勝つ。そういう勇気と覚悟のマンガだ。それがないと読めない。読んだ後立ち直れなくなる。山岸作品はけっこう痛い所をついていくるのだ。でも大人になるってこういうことだよな。……と当時学生だった私は思った。
 「日出処の天子」の連載は今から30年ほど昔。私は大学生でした。すでに腐女子だった私は「歴史もののやおい」という認識で読んでいましたが、今読み返すと、当時とは蘇我毛人の印象が違う。当時は私も若かったので厩戸皇子の気持ちになりきっていたので、皇子が好きなので私も毛人が好きだったです。今読み返すとそんなにいい男には思えないんだけど……(^_^;)
 それと、コニタンファンになった今、ずる天がアニメ化もしくはドラマCD化されるなら、絶対にコニタンにやってもらいたい役がこの蘇我毛人でなんです。だって、読むと、小西毛人で脳内再生できてしまいます。というわけで、小西ファンの皆様も一度この作品をお読みください。手軽に読むだけなら文庫版があります。連載当時の記憶のある方は必ずや完全版を。高いんですが、この本(^_^;)でも印刷の精緻さ、カラーの美しさはそれだけのことはあります。全7巻。

作品のあらすじと紹介
 厩戸皇子と蘇我毛人を中心とした古代史もの。皇位継承、政治、戦争、宗教など宮中の動きを描きながら、皇子や毛人をめぐる複雑な愛憎劇が綴られる。物語は史実の流れに沿っているが、元々厩戸皇子はいろいろと不明な点、超人的な伝承が多い人物なので、それをそのまま活かした伝奇ファンタジーにも読める。

(ネタバレあり)



第1巻感想
 少女マンガだからって、恋愛脳で読み進めると途中で挫折するかも。
 この作品の特徴であり面白さは、
・人物の描き分け。家族と学校しか出てこないとか、主人公以外全部女の子とかいうようなタイプの作品ではないから、登場人物が非常に多い上に年齢も幅広い。政治向きの話を軸に物語が進むので、どうしてもオッサンキャラが多く、主人公に直接関係なくても出さないといけない人物もいて、その大人数をきちんと描き分けているのがさすがです。
・大量のセリフ。まるで大河ドラマの脚本のよう。必要以上のことをセリフで言わせてるわけではないから、立ち読みで作品を理解するのは難しいです。買って帰ってじっくり読み込むしかない。
・おっさんキャラ。歴史物を書くとき、どうしても大人の男、それも中年や老人が必要で、少女マンガ的には一番足かせになる部分かと思う。この作品を書いた時、山岸先生は30ちょっと過ぎくらいだった。若過ぎてもなかなかかけなかったのだろうと思う。
・主人公が男。この作品のヒロイン?は厩戸皇子で、主に毛人の視点で描かれている。どちらも男なのだ。こういう作品をやおいとかBLと言う。

 なぜ男が主人公なのか?
 作中、女が出てこないわけではない。史実どおり?厩戸も毛人も結婚するし、厩戸や毛人は女性にはモテる役だ。ふつうの少女マンガだったら、同じようなストーリーだとしても例えばトジコ(毛人の妹で後に厩戸妃になる)を中心に、彼女の視点や気持ちで綴って行くんじゃないか。だって読者は若い女の子だから、女の気持ちに一番共感するものよね。
 厩戸皇子と毛人を主人公にしたのは、理由はふたつあると思う。
 史劇をやろうと思うと、男主人公でないと政や戦争の話を描きにくい。
 もうひとつは、ヒロインが男でないと描けない恋愛があるのだ。若い女は男にとってはすべからく恋愛対象であり、美人なら男は血眼になってとりあうだろう。そして恋の勝者となったその先は、結婚、出産、育児…どんな美女でもブスでも同じ道のりをたどる。たいていの少女マンガが結婚かその手前でお話が終るのはそのためだ。どこで終るにしても行く末はだいたい同じだから、ノーマルカップルはある意味夢がない(^_^;) 現実の自分が実現可能だからそんなのは夢とはいえない。
 BLはそういう現実的なつまらない結末を考えない。つまらない日常を離れて物語に入る入り口が、まず男の入れ物に入ることなのだ。女の入れ物のままでは、女の甘えや特権、現実の自分をひきずってしまう。私は、頭脳明晰、美貌で、野心家、そしてこの世で成せぬことはない超人・厩戸皇子となって物語に入る。

 第1巻はちょっと中途半端なところで終っているのですが…
 物語の発端は、蘇我毛人が厩戸皇子と出会うところから。厩戸の超人ぶりを見せつけられて、しかもそれがわかるのは毛人とごく一部の人間だけ。毛人は恐ろしさと同時に特別なつながりのようなものを感じて魅かれていく。
 第1巻は厩戸の父・豊日大王が亡くなり、再び皇位をめぐって……のあたり。
 印象的に残った場面。
(1)三輪君逆を討つ晩、馬子は仮病でドタキャン。物部や穴穂部王子を裏切るなんて卑怯だという毛人に
馬子「卑怯と言われることなぞわしは少しもはずかしくないぞ」
 馬子やまわりの大人の動きがけっこう多く、様々な人物に描かれているのが読める。馬子もその弟のマリセは特別大人物というほどではないが、リアリストで油断のならない男。穴穂部王子は裏も表もない豪胆な人物だが少し思慮深さに欠ける。
(2)毛人が文を書こうとしていると、夜中ふいに厩戸が毛人の部屋を訪れるシーン。火桶を持って戻ると、厩戸の姿が消えている。毛人はレシーバーのように厩戸の心の声をキャッチできる人物なのだ。この晩ふいに現れた厩戸はおそらく実体を伴ってない。
 蘇我蝦夷は、歴史の教科書では息子の入鹿の方が有名で、ちょっと影が薄い。この作品では毛人は温和で慎ましい好青年として描かれている。
(3)疫病に倒れた豊日大王の宮の四隅に立つ疫病の神?(厩戸と毛人には見える。)これがなんだか知らないけど見た目すごく怖かった。これがだんだん近づいてきて、最後は大王の枕元に立って、大王は崩御する。


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まとめ【日出処の天子(完全版】

日出処の天子 第1巻 完全版 (MFコミックス)(2011/11/22)山岸 凉子商品詳細を見る 最近めっきりマンガ買わ

  • まっとめBLOG速報
  • 2012.11.28 17:06

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