バードスクランブル
正岡

おたくな奥様快楽通信

宇宙刑事ギャバン THE MOVIE

2012年10月22日
アニメ・特撮・邦画 4
http://www.gavan.jp/
映画「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」2012年公開(東映)

 さっそくですが、見てきたので感想。
 お話。略。
 うんちく。「宇宙刑事ギャバン」は1982年に放送されたテレビシリーズ番組。2012年1月に「ゴーカイジャーvsギャバン」で30年ぶりの復活が劇場版映画となり、本作は劇場版2作目。ギャバンの二代目となる十文字撃を石垣佑磨が演じる。シャリバン、シャイダーも新世代キャストて劇中に登場する。

 感想。私が見たかったギャバンの映画は、こういうのじゃないんだけど。これは東映の偉いオジサンたちが考えた宇宙刑事ギャバンなのかな。
 映画始まって5分でもう回りの席の小さいお友達が飽きちゃって、だってなかなかギャバン出てこないんだもの。終った後は「終ったの?帰るの?」とか言ってて、小さいお友達にこんなこと言わせる特撮ヒーロー映画は私は評価できない。
 私には映画会社の偉い人たちの考えはよくわからないけど、石垣佑磨を主役に確保したことで、元々の特撮ヲタ以外の若い客層、つまり石垣さんについているファンとか石垣さんの出演作を見たであろう邦画ファンが見たい映画を提供しようとしたのかもしれない。(憶測で適当に言ってみました。)いつもの特撮映画じゃあない映画だった。

<この映画の良かったところ>
・新素材で蘇った宇宙刑事のコンバットスーツ。ギャバンと石垣ギャバンはデザイン違うんですね。新しいのもかっこいいです。シャリバン、シャイダーもきれいきれい。
・石垣佑磨は良かったです。正直、見る前はこの人どうなの?とか思っていたけど。変身前のアクションも、ヒーローらしい熱血な芝居も良かったです。声も個性的だし。石垣主演でまたギャバンやるなら私は見ます。でも必殺技はもうちょっとヒーローっぽいノリでやって。
・主人公の友達役の永丘卓也さんはいい俳優さんですね。ボスキャラの貫録。
・エンディングでギャバンの主題歌を流すところが憎い。最後まで席を立てない。
<微妙だったわん>
・恋愛いらんかったと思う。こんなの恋愛というほどのもんじゃないし。
・ヒロイン視点で話に入るのがどうも落ち着かない。途中の回想シーンでいきなり撃視点になったりとか。すぱすぱすぱっといらんシーンを切って、多少説明不足でも主人公の撃視点を通した方が良かったんじゃないかと感じた。
・そもそも脚本があまり練られてない気がする。冒頭のヒロインが襲われるシーンがやたら長いのに、モンスターとやりあうアクションはけっこう端折っていたし。なにかっていうとヒロイン人質だし。
・レーザーブレード!→BGM→ギャバンダイナミックまでの様式美がなかった。特撮は古典芸能なのでそういうのは守らないといけないと思う。
・衣装がダサすぎる(^_^;) 銀河連邦警察なんかに就職したくねえ。悪役コスはけっこうかっこいいのに、主人公サイドが安そうなコスプレなのはなぜだ? しかもシェリーの艦内服、全然かわいくない。撃もシェエリーもカジュアルな地球の服が一番似合っていた。

 私は、映画見る前は「大葉健二以外のギャバンなんているの?」「石垣佑磨なんてタイプじゃないし」なんて思っていたけど、良かった〜石垣さんの新宇宙刑事。また次も作ってくれないかな。今度はがっつりとアクション中心で。熱血ヒーロー映画で。というのが総合的な感想です。シャリバンとかシャイダーの活躍も見たいな。
 せっかく新しいコンバットスーツ作ったんだから、まさかこれ一回きりじゃあないですよね。もっとこうなんか、長年宇宙刑事ファンが待っていたような映画を作ってもらいたいのですが……(2012.10.21)

※翌日追記



 一晩寝て脳みそが冷えたところでもう一度考えてみた。
 私はこの映画の何か気に入らなかったのか?
 自分が見たかったものと違う、というのはよく考えたらケナす理由じゃない。そういう映画は過去にいろいろ見たが、「自分が期待した内容じゃないけどおもしろかった」という感想はいくらでもあった気がする。
 映画の「面白かった」動機はいろいろあって例えば
1「画面がすごい」
2「このあとどうなる?結末は?お話にひきこまれた」
3「泣いた笑った感動した」
のいずれかだろう。ギャバン映画については、1と2はない。短期の準備と撮影で予算も潤沢ではないだろう。だから映画の見栄えや凝ったお話で観客を満足させることはむずかしい。私がコンバットスーツよかったわ〜とかいっても、それは80年代のテレビシリーズが念頭にあって、今の特撮ものなら当たり前の出来栄えだ。
 つまり、時間も予算もない映画に必要なのは3。私が不満なのは、ギャバンや回りの人物の気持ちに共感して、怒ったり悲しんだり喜んだりできなかったからだと思う。
 だいたいそもそも、ギャバンは何と戦っていたのか?そこらへんあんまりよく思い出せない。
 お話の軸は2つあった。主人公たち3人の子供時代、事故、三角関係。もうひとつは、ドンホラーとマクー復活への敵の作戦。
 私ね、この時系列的に過去シーンから話を始めるのって、やっぱり逆だと思うんですよ。観客にとってはこの3人誰?状態なわけで、誰が主人公なのかもわからない、うっかりするとこの女の子が主人公みたいな感じもする。いきなり怪人に襲われてえんえんと逃げ回っているし。(こんなにこのシーン長いなんて、この女の子がこのあと女宇宙刑事にでもなるのか?と思って見てましたよ私は(^_^;))私は逆だと思う。先に主人公ギャバンを紹介して顔と立場と役割を観客に認知させてから、実は…と回想シーンに入った方がわかりやすかったと思う。
 あと、ドンホラー復活のカギが隕石……の理屈も実はよくわからない(^_^;) よくわからなくても話に支障はないのでここはさくさく進めていい。あんなでっかい研究所に厳重に保管されている隕石について、小娘一人しか研究してないってどういうこと????とか思ったけど、そこはわからなくても本当に映画には支障がないから別にいい。ただ、ドンホラーが復活したら何がやばいのか、TVシリーズを見てる人にはその意味がわかるが、映画にそのやばさが出ているかはわからない。
 となるとやっぱり友達3人の関係がギャバンを動かす動機、ということに。でも、目の前の彼女を救うという動機があるので、友を斬ることの重みが薄れてしまってるから、うまくいってるとは思えない。どう考えても人命救助優先でしょここは!てシーンはそもそも恋愛も友情も関係ない。
 私思うんですが、生まれ故郷の星のために、ひいては全宇宙の平和のために、という子供番組らしいスケール感は大事だと思う。でなければ「宇宙」とつける意味がない。なのにドラマの根幹に恋愛とか三角関係を持ってくる意味があったんだろうか。結局あたりさわりのない描き方しかできないのに。
 最初に襲われるヒロインは主人公の妹で良かったんじゃないかなあ。恋愛感情は年月で薄れたり変わったりするけど、妹という肉親設定は一生もんだから。友人とも女抜きで向かい合う方が、友情と正義の天秤で悩む意味も出るはず。それと女宇宙刑事の立場がなくなるので、妹だった良かったのにと思うんだよね。

 まあ冷静にふりかえるとただの凡作なのかもしれないけど。
 素材と鮮度は良かったのに、レシピが間違ってる。こんな献立考える栄養士にも私は文句を言いたいのだった。

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正岡
この記事を書いた人: 正岡
■生涯一腐女子。腐女子の本懐を極める。追っかけ中→小西克幸。市川猿之助。松田龍平。蒼井翔太
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コメント4件

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555  

  やはり言いたい

  金田監督の作家性が私達の望んだものに対し
一歩遅れたのが大きいのではないかと思われます。 
  私も今回の作品はそぐわないと感じましたから。
  私の見てきたTOHOシネマズでも子どもが早い段階で
「もう帰る」だの車いす用のバーで鉄棒をするだの
態度の悪さが目に付いたぐらいですから。 
  こんなことならあの男児たちには今ヒットしている
『劇場版魔法少女まどか☆マギカ』を
騙くらかしてでも連れ込んだ方が良いと思いました。

2012年10月21日 (日) 23:33

正岡  

私も思う

次に宇宙刑事撮る時は、脚本と監督は別の人で。プロデューサーもちょっと考え直してもらわんと。
ていうか、次があるといいんですが……

2012年10月22日 (月) 00:10

555  

とりあえず

  私が見ててつらかったのは、主人公のキャラ造形が
自分の事しか考えていなようにしか思えなくて感情移入しにくい。
  これで男はバカだからと言われても説得力の方が……。

2012年10月23日 (火) 00:30

正岡  

恋愛って究極のエゴですよね

恋愛入れると人間が小さくなるんですよ。だって究極のエゴじゃないですか。
私情で動く警察なんてだめですよね(^_^;)
発端の動機は恋愛や友情でも、悪の復活は許さないとか宇宙の平和は俺が守る的な、そういうのが最後の盛り上がりに無くちゃ。

2012年10月23日 (火) 01:44